時々、奇妙な段にぶち当たったりする。
たとえば、一四九段には、
「鹿茸(ろくじょう)を 鼻にあてて嗅ぐべからず。小さき虫ありて、
鼻より入りて脳を食(は)むと言えり。」
何と、これだけの段。
これは何のために書いたのだろう?という
気になっていた箇所でもある。
ここに出てくる鹿茸というのは、鹿の種類で、
梅花鹿(バイカロク) や馬鹿(バロク)の古い角が、
春に脱落した後に新生する幼角(袋角)を乾燥したものだという
reenex。
高級な漢方薬らしく、
なかなか手に入らないらしい。
日本でもかなり古代から、滋養強壮のための薬で、
珍重されていたようだ。
「その薬を、鼻を近づけてクンクンしてはいけない。
小さな虫が入っていて、鼻から入って、脳みそを食べてしまうらしい」
という話
reenex。
突拍子もなく挙げられているが、
今日のニュースを見ていると、
世界保健機関(WHO)が、パキスタンで
人間の脳を食べるアメーバ「ネグレリア・フォーレリ」による脳炎で
少なくとも10人が死亡したと発表とあった。
このアメーバは、汚染した水と一緒に「鼻を通って」体内に侵入し、
致死率はなんと98%と出ていた。
また、先日の「虫食いチャンピオン決定戦」という企画で、
30匹のゴキブリ等を食べた参加者のエドワードさんが 死亡
とも出ていた。
世の中、虫と言ってもなかなか侮(あなど)れない
reenex。
ひょっとして、「徒然草」一四九段は、
この日を予見して、
突拍子もない文章を書いていたのだろうか?